相続で揉めたり相続税の支払いが発生するのなんて、一部のお金持ちだけの話・・・そんな風に思っていて、実際に相続が発生した時に予定外に相続税を支払わざるを得なくなっている人が増えているようです。
そのご家庭で保有する資産額にもよりますが、場合によっては相続税を払うよりも、計画的に生前贈与して贈与税を払った方が安く済むかもしれません。
財産がいくらあると相続税がかかるか?
そもそも財産が少なければ相続税について考える必要はありません。
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、父・母・子供2人の家庭で、父が亡くなった場合の基礎控除額は、3,000万円+600万円×3=4,800万円です。
つまり、4,800万円以上の相続財産がある場合に、相続税が課されます。
実はこの基礎控除額、平成26年までは5,000万円+1,000万円×法定相続人の数だったのですが、税制改正により減額され、それによって課税対象となる家庭が一気に増えたのです。
相続税の税率は?
相続税の税率は、法定相続分に応じた取得金額によって計算されます。
法定相続分に 応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
贈与税はいくらからかかるか?
相続税に比べると贈与税の基礎控除額は非常に少なく、110万円です。ただし、これは1年ごとに計算するので、何年にも分けて贈与することで、控除額もその分増やすことができます。
贈与税の税率は?
贈与税の税率は、一般税率と、祖父母や父母などの直系尊属から贈与を受ける場合の特別税率の二種類があり、それぞれ税率は以下の通りです。
基礎控除後の 課税価格 | 【一般税率】 税率 | 【一般税率】 控除額 | 【特別税率】 税率 | 【特別税率】 控除額 |
---|---|---|---|---|
200万円 以下 | 10% | ‐ | 10% | ‐ |
300万円 以下 | 15% | 10万円 | 10% | ‐ |
400万円 以下 | 20% | 25万円 | 15% | 10万円 |
600万円 以下 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 |
1,000万円 以下 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 |
1,500万円 以下 | 45% | 175万円 | 40% | 190万円 |
3,000万円 以下 | 50% | 250万円 | 45% | 265万円 |
4,500万円 以下 | 55% | 400万円 | 50% | 415万円 |
4,500万円 超 | 55% | 400万円 | 55% | 640万円 |
1億円を子供2人に5,000万円ずつ渡したい場合はどちらがお得?
父・母・子供2人の家庭で、父が亡くなった場合と仮定して、1億円を子供2人に5,000万円ずつ渡すとして計算してみます。
相続税の場合
基礎控除額は3,000万円+600万円×3=4,800万円なので、課税対象額は1億円-4,800万円=5,200万円
法定相続分は、母1/2(2,600万円)、子が1/4(1,300万円)ずつなので、上の速算表に入れて計算すると
- 2,600×15%−50=340
- 1,300×15%−50=145
- 1,300×15%−50=145
合計すると、340+145+145=660万円が合計の税額になり、子供2人で同額ずつ分配するため一人330万円の課税となります。
*法定相続分通りに分配する場合には、配偶者特別控除があるため税額が変わります
贈与税の場合
親から子への贈与は特別税率が適用されますが、5,000万円を一回で渡すとすると最高税率の55%が課され、一人2,110万円も課税されます。
10年かけて、1年に500万円ずつ贈与すると、1年あたり(500万円−110万円)×20%-30万円=48.5万円、つまり10年で合計485万円の課税となり、まだまだ相続税の方が負担が少ないです。
20年かけて、1年に250万円ずつ贈与すると、1年あたり(250万円−110万円)×10%=14万円、つまり20年で合計140万円の課税となり、相続税の半分以下の負担となります。
もっと時間をかけて、1年に110万円以下の金額を贈与するのであれば、贈与税はかかりません!
生前贈与を検討するならとにかく早く始めること
親から子へ財産移転する場合には、そのタイミングによって相続税または贈与税のいずれかが課税されますが、どちらの方が負担が少ないかはご家庭によって違います。
財産を試算してみて、少しずつ時間をかけて親から子へ財産移転することを考えているなら、とにかく早く始めることをオススメします。
時間を味方につけることで、トータルで支払わなければいけない税金が倍以上も変わると思えば、その重要性は自ずとわかるでしょう。
相続税・贈与税の相談は税理士へ
相続税や贈与税など、税金周りのことは素人が迂闊に手を出すと火傷のもとです。
そのご家庭ごとに状況はことなることから、各ご家庭の税金対策も十人十色であるため、専門家である税理士に相談するのが一番確実です。
とはいえ、税理士の知り合いなんて居ないし、誰に相談して良いのかわからないという場合には、税理士ドットコムを使って自分の条件にあった税理士の紹介を受けるのがオススメです。
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紹介された税理士への相談は有料ですが、税理士よっては初回相談無料の税理士もいますので、簡単な相談であればトータル無料で済む可能性もあります。
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